

いよいよ大詰めを迎えたJリーグの2012年シーズン。勤労感謝の日の23日は、東京・国立競技場で「J1昇格プレーオフ」の決勝戦が行われました。このプレーオフは今年から導入され、J2の3位から6位までの4チームによるトーナメント方式で、優勝したチームがJ1昇格となります。今回は京都サンガFC(3位)、横浜FC(4位)、ジェフユナイテッド千葉(5位)、大分トリニータ(6位)が出場し、18日の準決勝では、大分と千葉が上位チームを破って決勝進出。決勝は90分ハーフ・延長戦無しで行われ、引き分けの場合は上位チームが昇格できます。5位の千葉は引き分けでも昇格OK、6位・大分は勝つしかありません。既にJ2王者・ヴァンフォーレ甲府、2位・湘南ベルマーレが昇格決定。最後にJ1のイスを掴んだのはどこのチームだったのか?
まず決定的チャンスを迎えたのは千葉でした。開始5分、谷澤達也のパスを受けた米倉恒貴が左足シュートを放つも、GKの正面。対する大分は9分、左ショートコーナーから森島康仁が左足ミドルシュートを放つも、バーを外れます。前半13分、千葉は左サイドで渡邊圭二が飛び出した大分GK・丹野研太からボールを奪い、渡邊のクロスを米倉が頭で合わせますが、GK・丹野のパンチングに阻まれます。25分、大分は左サイドのチェ・ジョンハンのクロス→ファーサイド右にいた森島がヘディングシュートするも、ゴール右に外れる。36分、千葉はゴール正面でのFKを兵働昭弘が左足で直接狙ったが、大分GK・丹野がまたもファインセーブ。続く谷澤の右CKを山口智がダイビングヘッドを見せるが、ゴール右に逸れて枠を捉えられず。前半は両チーム無得点で終了。
後半もジェフペースで進みます。後半12分、左サイドからのFKをペナルティエリア右にいた竹内彬が合わせるもGKにキャッチされます。その後は一進一退の攻防が続き、お互い決め手を欠いたまま時間だけが過ぎる。点を獲って勝つしかない大分は後半28分、木島悠に代えて林丈統を投入。残り15分近くから試合の展開が激しくなり、千葉は後半29分に兵働が左足ミドルを放つもダメ。大分は後半30分に村井慎二のシュートはバーの上、33分には森島が左サイドからシュートを狙うも決まらず。千葉は後半36分、右サイドの谷澤がグラウンダーで折り返すも、誰も押し込めない。その1分後には左サイド・米倉のクロス→藤田祥史が飛び込むも、ヘディングシュートは無情にもバーの上。
0−0のまま残り5分を切った後半41分、防戦一方だった大分にチャンス到来。GKのロングフィード→安川有が頭で落とし、森島が千葉DFライン裏にいた林に浮き球のパス。林はラインを抜け出し、ドリブルから左足ループシュート。ボールはそのままゴールネットへ吸い込まれた。大分がJ1昇格をグッと引き寄せる先制点!崖っぷちに追い込まれた千葉は、失点直後にオーロイを投入するも奇跡の同点ゴールを奪えず。試合は1−0で大分トリニータがプレーオフ決勝を制し、4季ぶりJ1復帰を果たしました!
J1昇格3チーム目を決める最後の戦いは、手に汗握るような緊張感のある試合でした。後半40分までは再三決定的な場面が続いていたジェフ千葉が優位に立っていたんですが、後半41分に大分トリニータがワンチャンスで試合の均衡を破り、林選手が鮮やかなループシュートを決めました。まさに大分にとっては劇的な勝利、千葉は非常にショックすぎる敗戦といえるでしょう。
決勝ゴールを挙げた林選手は、デビュー時はジェフに在籍し、スーパーサブとして活躍してきました。今年8月から大分所属となり、古巣との大一番で大分をJ1に導くゴールを決めました。「デカモリシ」こと森島選手は、準決勝の京都戦で4ゴール、今回の試合でも林選手のゴールをアシストし、2試合続けて勝利に大きく貢献しました。
大分トリニータは2008年にナビスコカップを制し、J1リーグ戦でも優勝及びACL出場権争いに加わり、チーム最高のシーズン4位でフィニッシュ。「九州勢初のJ1優勝」も予感させたけど、翌年の2009年は14連敗を喫し、17位でJ2降格。前年の大躍進から一気に転落してしまいました。あの時は現在ドイツでプレーしている清武弘嗣選手もいましたねえ。
J2に落ちた後も15位、12位と低迷続き。慢性的な財政難でクラブ存続の危機に立たされましたが、地元経済界、県民サポーターの支援のおかげでリーグからの借入金を完済。6位でシーズンを終え、プレーオフでは3位・京都に4−0で圧勝、決勝で5位・ジェフ千葉を破り、「Jリーグ史上最大の下剋上」を成し遂げました。奇跡の復活を果たしたけど、来年はチームにとって勝負の年。1年で逆戻りせず、できれば九州のライバル・サガン鳥栖のように上位争いに入れると良いんですが…。
24日は各地でJ1第33節が行われます。首位のサンフレッチェ広島は、ホーム・広島ビッグアーチでセレッソ大阪と対戦。2位・ベガルタ仙台は17位・アルビレックス新潟と戦います。広島と仙台の勝ち点差は「1」ですが、もし第33節で広島○、仙台●だと最終戦を待たずして広島の初優勝が決定します。仙台が勝って広島が引き分け以下ならば、仙台が首位に浮上し、最終節まで持ち越し。
優勝争いも気になりますが、アジアチャンピオンズリーグ出場権争い、残留争いも混戦模様。現在3位の浦和レッズ(勝ち点52)がACL出場圏内をキープしていますが、名古屋グランパス、サガン鳥栖、柏レイソルにも逆転のチャンスあり。残留争いでは、17位・新潟と16位・ガンバ大阪が降格寸前。ガンバはFC東京戦で勝てなければ、大宮アルディージャとヴィッセル神戸の結果次第では初のJ2降格となってしまいます。「Jリーグの一番長い日」となるだろう11月24日、優勝争いと残留争いに終止符は打たれるのか?




